相続した土地はすぐ売却した方がいい?税金や受けられる特例についても、沖縄読谷村の不動産会社が解説
2024/03/15
親の土地を、兄弟で共同相続し、そのまま放置していると維持費ばかりがかさみます。
土地を相続した場合、よい売却のタイミングはあるのでしょうか。
この記事では、相続した土地をすぐに売却した方がよいケースを解説します。
また、土地の売却にかかる税金や受けられる特例についてもご紹介します。
相続のトラブルをさけられる
土地などの不動産は、形や立地などを考慮して公平に遺産分割するのが難しい財産です。
複数の相続人で共同で所有し、売却したい場合には一人でも反対があれば、売却できません。
また相続人が亡くなると、二次相続、三次相続が発生し、遺産分割の問題がより複雑化します。
相続した土地が、公平な分割が難しい、活用が難しい場合には、被相続人で遺産分割協議を行い、すぐに売却することで相続トラブルを回避できます。
土地を売却して、現金化すれば、より公平に遺産分割できるからです。
維持費の負担を軽減できる
相続した土地は、毎年固定資産税や都市計画税が課税され、貸し出して収益がある場合をのぞいては、負の遺産となります。
建物を賃貸に出した場合でも、修繕費や光熱費、火災保険料などがかかります。
また、更地はそのままにしていると雑草が広がり、竹の根などが近隣に広がってトラブルになるため、定期的なメンテナンスが必要です。
相続した土地をすぐに売却すれば、このような税金やメンテナンス費用の負担を軽減できます。
相続税の納税資金にできる
親の遺産を相続した場合、相続税が発生し納税を行わなければなりません。
相続税の申告や納税の期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」と決められています。
遺産に借金などが含まれている場合や、相続税の納税資金がない場合には相続した土地を売却して現金化する必要があります。
ただし、相続税は非課税となる基礎控除額をこえた金額に対してかかる税金です。
実際に納税しなければならないケースは、相続が発生した件数のうち9.3%で、一部の資産家に課税される税金です。
参考:国税庁「令和3年分 相続税の申告事績の概要」
登録免許税
相続や遺産分割によって不動産を取得した相続人は、取得から3年以内に相続登記しなければならず、2024年4月からは義務化されます。
相続した土地を売却するためには、名義変更して売主を明確にしなければなりません。
法務局で名義変更のための登録申請を行うと登録免許税がかかります。
相続による土地の名義変更にかかる登録免許税は「土地の固定資産税評価額×0.4%」です。
印紙税
相続した土地を売却する際には、土地の売買契約書や領収書の作成が必要で、それぞれ印紙を貼らなければなりません。
印紙税は契約書に記載する土地の売買代金によって金額が変わるものです。
平成26年4月1日~令和6年3月31日までは記載金額10万円以上は軽減税率が適用されます。
参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
所得税・住民税・復興特別所得税
相続した土地を売却して譲渡所得が生じた場合、所得税・住民税・復興特別所得税が課税されます。
譲渡所得の計算方法は「譲渡価格(売却価格)- 取得費(土地の購入額)- 譲渡費用」です。
譲渡費用は土地の売却に直接かかった費用で、仲介手数料、印紙税、測量費などが含まれます。
修繕費や固定資産税は含まれませんので、注意してください。
また、相続した土地の取得費が分からない場合には「譲渡価格×5%」の概算の取得費で算出可能です。
さらに所得税・住民税は「譲渡所得×税率」で算出され、税率はその土地をどのくらいの期間保有していたかによって変わります。
売却した年の1/1時点で所有期間5年超の場合は「長期譲渡所得」、所有期間5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、それぞれの税率が適用されます。
所得税率 | 住民税率 | |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
相続した土地を売却するケースでは、被相続人が5年超所有していた場合、被相続人の所有期間を引き継ぐことが可能。
相続人が土地をすぐ売却しても長期譲渡所得の税率が適用されます。
さらに東日本大震災の復興のための財源確保のため「所得税×2.1%」が復興特別所得税として課税されます。
復興特別所得税は、平成25年から令和19年まで適用予定です。
取得費加算の特例
取得費加算の特例は、相続した土地を売却した場合の取得費に関する特例です。
譲渡所得は「譲渡価格-取得費-譲渡費用」で算出されます。
相続した土地を一定期間内ですぐに売却した場合、納めた相続税額の一定金額を取得費に加算することが可能。
譲渡所得が圧縮されるため、譲渡所得税が軽減されます。
特例の適用には下記の条件があります。
1. 相続や遺贈により財産を取得したものであること。
2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
3. その財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
参考:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
取得費加算の特例は、相続税の支払いをして土地をすぐに売却した場合に適用されるもので、相続税が発生しない場合には適用されない点には注意してください。
空き家譲渡の特別控除
親から家付きの土地を相続し、被相続人が相続の開始直前まで居住していた家屋を売却する場合には、空き家譲渡の特別控除が適用可能です。
譲渡所得から最高3,000万円までが特別控除され、大きな節税効果が期待できます。
昭和56年5月31日以前に建築された家屋である、現行の耐震基準に該当する、相続開始の日から3年が経過する年の12月31までに売却するなど細かい適用要件があります。
参考:国税庁「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」
まとめ
この記事では、親から相続した土地をすぐに売却した方がよいケースについて解説しました。
売却した場合には、さまざまな税金が課税され、課税率は売却のタイミングによっても異なります。
節税効果のある特例についても十分に検討しましょう。
また、納税資金が十分にあり、相続人で円満な遺産分割ができる場合には、すぐに売却する必要はありません。
相続した土地を、収益物件として有効に活用するのもよい方法です。
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