高齢者の孤独死対策|現状や賃貸契約のポイントについて、沖縄読谷村の不動産会社が解説
2024/03/01
日本では高齢化や核家族化がすすみ、一人暮らしのお年寄りが増えています。
高齢者の孤独死も後を絶たず、さまざまなトラブルが発生しているのが現状です。
この記事では、高齢者の孤独死の現状や、孤独死対策について解説します。
賃貸物件でのトラブルを防ぐポイントもご紹介します。
孤独死は社会問題
日本では高齢者の数が増え、2019年現在、総人口1億2,617万人のうち65歳以上の高齢者が3,589万人となりました。
高齢化率は28.4%にもなり、3人に1人が高齢者となる状況です。
今後、65歳以上の高齢者は増え続け、2042年のピーク時には3,935万人に達する見込みです。
また、高齢者のうち一人暮らしの世帯は、全世帯の28.8%にあたる736万世帯。
今後も少子高齢化が進み、独居老人の数が増えることが予想されています。
参考:内閣府「高齢社会白書」
さらに、2020年に東京都において自宅で死亡した一人暮らしの高齢者は4,207人でした。
自宅で孤独死した方が、発見されるまでの平均的な日数は2〜3日で、しばらく気づかれずに放置されるケースも多くあります。
参考:東京都監察医務院「自宅住居死亡単身世帯者数」
賃貸物件では、孤独死は死後のトラブルにもなりかねず、賃貸契約をする際の対策を講じておくことが大切です。
孤独死しやすい人の特徴
孤独死をしやすい人には、社会とのつながりがない、健康に問題があるなどいくつかの特徴があります。
・社会とのつながりがない:一人暮らしや引きこもりは、ご近所や地域とのつき合いが少なく、孤立しがちです。また、経済的余裕がない場合には、趣味を持ったり、出かけたりできず、家にこもりやすくなります。
さらに、男性は女性よりも人づきあいが苦手とされ、高齢者の男性は社会から孤立しやすく、孤独死のリスクが高いと言えます。
・健康に問題がある:持病があったり、自身で栄養面など健康管理ができない場合には突然死することもあるでしょう。一人暮らしで、突然死した場合には、周りに気づかれず放置され、孤独死となるケースが増えます。
孤独死後の金銭的負担
物件で孤独死があった場合、発見が遅れると異臭や害虫が発生し、一般的なハウスクリーニングでは対応できません。
汚物や体液で汚れた部屋を「特殊清掃」で除菌・消臭して原状回復させる必要があります。
特殊清掃の費用相場は数万円〜数十万円となり、相続人に負担がかかります。
また、残置物の処理にも費用がかかり、相続人がいない場合には、物件管理者が費用を負担しなければなりません。
不動産価値の下落
老衰や病死などの自然死や、転倒などの事故死は事故物件とはなりませんが、長期間発見されなかった孤独死は、自殺や他殺と同様に事故物件の扱いとなります。
賃貸物件では、人が借りたくないと感じる原因となる事件や事故など「心理的瑕疵(しんりてきかし)」を必ず告知しなければなりません。
告知は、事故発生から3年間と決められており、物件が孤独死で事故物件となると、賃料を下げても借り手が見つからず、空室になるリスクが高まります。
参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
賃料収入が減ったり、売却の場合にも価格を下げなければならず、安定した不動産経営には孤独死対策しておくことがとても重要です。
自治体支援の利用
各自治体では、高齢者の孤立を防ぐために、サロンやコミュニティなど地域交流の場が設けられています。
また、各市区町村が実施する民生委員の見守り、地域包括支援センターによる支援、訪問サービスを受けることもできます。
これらは高齢者が社会とつながり、支援が必要な人に行き渡るようにするための制度です。
一人暮らしの高齢者自身が、孤独死対策として、積極的に自治体支援を利用するよう後押しが必要です。
民間サービスの活用
新聞や郵便、宅食や生協など個別配送サービスを利用すると、配達員が安否を確認できます。
また、水道や電気の使用料をモニターして、使用状況の異変を連絡する民間サービスもあります。水道や電気が止まったまま、あるいは使用し続けている状況を通知し、離れて暮らす家族が高齢者を見守れます。
さらに、警備会社と契約すると、高齢者の緊急通報に対し24時間体制で駆けつけ、病院につないでもらうことも可能です。体調の異変、発作がおこった場合にもすぐに対応してもらうことができ安心です。
さまざまな民間サービスを利用して孤独死対策しておくと、一人暮らしで何かあった場合でも周囲がすぐに対応できます。
デジタルツールの活用
遠くに住む家族や親類がいる場合には、カメラやセンサーのデジタルツールを活用するのも孤独死対策となります。
見守りカメラを設置すれば、通話機能で離れた家族と画面越しに会話することも可能です。
普段の生活や服薬の状況、倒れるなど異変がないか遠くの家族が見守れます。
高齢者が監視されていると不快に感じる場合もあり、プライバシーの配慮には注意しなければなりません。
また、トイレやベッドにセンサーを設置すれば、使用状況を検知し家族が安否を確認できます。
さまざまなデジタルツールを活用し、異変がすぐにわかる環境をつくり孤独死対策をしておきましょう。
ポイント1:高齢者向けの契約書作成
賃貸契約を結ぶ際には身元や経済的保証のために「保証人」や「連帯保証人」をつけなければなりません。
名ばかりの保証人では、孤独死の際には不払いのトラブルもあります。
一方、連帯保証人は、入居者が家賃を支払えない、孤独死したなどの場合に費用を負担する責任があります。
高齢者向けの契約書では、連帯保証人を相続人に限定すると、不払いのリスクが下がります。
また、入居者が孤独死して連絡が取れなくなっても、オーナーは勝手に部屋に入ることはできません。「〇日間連絡が取れない場合には、開錠する」など契約書に明記しておくと安心です。
ポイント2:孤独死保険への加入
孤独死対策として、保険会社の孤独死保険も活用できます。
孤独死保険には、家主加入タイプと入居者加入タイプがあります。
家主加入タイプは、入居者が死亡した場合に賃貸物件の原状回復費用、遺品整理費用、家賃損失などが補償されるものです。一棟単位、一定以上の戸数など加入条件があり事前に確認が必要です。
また、入居者タイプは火災保険の特約として付帯され、孤独死の際には原状回復費用、遺品整理費用などが補償されます。入居者タイプは家賃損失は補償されないこと、また相続人が請求しなければならないことには注意しなければなりません。
ポイント3:家賃保証会社の利用
賃貸借契約を結ぶ際に、連帯保証人をつけず、家賃保証会社を利用することもできます。
家賃保証会社とは、入居者が保証金を支払い、入居者の連帯保証人となる会社です。
入居者が家賃を支払えない場合に家賃保証会社が、一時的に家賃を建て替えてくれます
最近は家賃保証に孤独死保険が付帯されたものも増えており、孤独死対策としても利用できます。
ただし、家賃保証会社を利用するには、年齢や年収などの加入条件があり、入居者が審査に通らなければ利用できません。
まとめ
この記事では、高齢者の孤独死の現状や、孤独死にとれる対策を解説しました。
今後も少子高齢化が進むことが予想され、不動産を経営するなら、高齢者の受け入れを避けることはできません。
高齢者の孤独死は、不動産の経営に大きな影響を及ぼします。そのため、一人暮らしの高齢者と賃貸契約を結ぶ際には、十分な事前の対策が必要です。
高齢者向けの契約書作成、孤独死保険の活用、家賃保証会社の利用などで孤独死対策を検討しましょう。
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