不動産投資の減価償却の仕組みや計算方法、注意点について沖縄読谷村の不動産会社が解説
2023/12/28
不動産投資では、資産の減価償却によって節税の対策となります。
時間の経過とともに価値が減少する減価償却資産に対して、一年ごとに費用を計上して個人の納税額を減らすのです。
こちらの記事では、不動産投資における減価償却の仕組みや計算方法を解説します。
また、節税のための注意点についてもご紹介していきましょう。
不動産投資における減価償却費とは?
時間の経過で価値が減る減価償却資産は、法定耐用年数に応じて決算時に減価償却します。
減価償却で毎年計上する費用を「減価償却費」と呼びます。
不動産投資をする場合には、物件取得費用を初年度にすべて減価償却費に計上するのではなく、耐用年数に応じて数年から数十年に分割して計上可能です。
減価償却できる資産は建物や建物附属設備などで、土地や借地権は時間経過で価値が減少しないため減価償却はできません。
減価償却費は、建物構造や築年数、物件価格によって変動するため、節税のためには物件選びがとても大切です。
実際の支出を伴わない経費
サラリーマンの方なら、経費と言えば接待交際費や事務用品費、消耗品費などを思い浮かべるかもしれません。
一方、減価償却費は、会計上の費用であり、実際の支出を伴わない経費です。
費用に計上することで、個人の課税所得額を減らして納税額を減らせます。
減価償却費を活用すると納税額が減って、手元に残るお金が増えるという仕組みです。
課税所得を圧縮する損益通算
サラリーマンであれば「損益通算」によって、個人の給与所得と不動産投資の赤字を相殺して、全体として所得を減らし、納税額を抑えられます。
不動産投資の初期であれば、物件取得や登録費用などがかかり、多くは赤字の経営となっているでしょう。
一年で計上できる減価償却費やそのほかの費用が多いほど、会計上の赤字が大きくなり、個人の課税所得を圧縮して納税額を減らすことができるのです。
減価償却の計算方法
減価償却の計算方法には、定率法と定額法の2種類があります。
最終償却できる金額は同じですが、定率法は不動産投資の初期段階で経費にできる金額が多く、節税の効果があります。
ただし、平成28年度の税制改革によって、平成28年4月1日以後に取得する建物、建物附属設備、構築物は定額法しか選択できなくなりました。
定率法:初期の償却額が大きく、年数がたつにしたがって減少する。
減価償却費=未償却残高×定率法の償却率
定額法:法定耐用年数の間、毎年同じ減価償却費を計上する。
減価償却費=建物の取得金額×定額法の償却率
建物価格
不動産投資で物件を取得し、減価償却費を計上する場合には、土地は減価償却の対象ではないため、建物の価格を求めなければなりません。
マンションや建売住宅では、土地と建物が一体となっており、売買契約書に土地と建物が区分けされていないケースもあるでしょう。
そのような場合、売主と相談の上、土地価格と建物価格の割合を決めて売買契約書に明記してもらうことをおすすめします。
また、売買契約書に消費税の金額の記載がある場合には、消費税は建物のみに課税されるため、消費税の金額から建物価格を算出可能です。
さらに、固定資産税の評価額から土地と建物の比率で按分する方法もあります。
固定資産税評価額は「固定資産評価証明書」や「固定資産税納税通知書」で確認しましょう。
減価償却期間
減価償却期間は、建物の法定耐用年数によって算出します。
建物の法定耐用年数は、建物の用途、構造別に定められており、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で確認しましょう。
新築物件であれば、法定耐用年数がそのまま減価償却期間にあてられます。
中古物件で大きなリフォームなどを行っていない場合には、下記のような簡便法の計算式を使ってください。
簡便法の計算式で耐用年数を求め、それを減価償却期間とします。
耐用年数の一部を経過:減価償却期間=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
築年数が耐用年数の全部を経過:減価償却期間=法定耐用年数×20%
実際の計算
減価償却費は、建物価格÷減価償却期間で算出できますので、実際の計算を見ていきます。
以下のような条件の年間の減価償却費を求めてみましょう。
・法定耐用年数47年の鉄筋コンクリート造りの建物
・築27年の鉄筋コンクリート造の物件を5,000万円で購入
(土地価格2,500万円、建物価格2,500万円)
「減価償却費の求め方」
建物価格:2,500万円
減価償却期間:(47-27)+20×0.2=24(年)
減価償却費:2,500÷24=104(万円)
新築マンションは節税には向いていない
節税の対策をするためには、新築の区分マンションは向いていません。
新築マンションは、耐用年数が長く、減価償却費が大きく取れないからです。
投資の初年度は、物件費用にくわえて登記費用など多くの経費を計上できますが、翌年以降は費用が減り、節税の効果を見込めないのです。
また、新築のマンションは購入後に価格が3割程度下がり、ローンの残債以上で売却するのは難しいでしょう。
不動産投資で節税するなら、減価償却費を大きく取れる木造、築古物件がおすすめです。
課税所得900万以上の方におすすめ
課税所得900万円(年収1,200万円)以上の方なら、不動産経営で節税の効果を感じられるでしょう。
日本の累進課税制度においては、高収入であればあるほど所得税率・住民税率が高くなります。
課税所得が900万円未満なら所得税率23%、課税所得が900万円以上になると所得税率は33%です。
課税所得900万円以上の方なら、のちほどご説明する不動産譲渡の所得税率との差が大きくなり、節税効果が期待できます。
ローンの返済額とのバランスが大事
減価償却費は、ローンの返済額とのバランスを常に保っていなければなりません。
ローンの元金返済額が減価償却費を上回った状態を「デッドクロス」と呼びます。
このデッドクロスの状態になると、実際のキャッシュフローは変わっていなくても、会計上は大きな利益が出ていると判断されます。
そのため、利益部分に課税され所得税額が増えて、資金繰りの悪化につながるのです。
銀行への返済金と税金の負担によって、最悪の場合、マイナスのキャッシュフローになり、貯金を切り崩して不動産を経営する事態になります。
売却時の譲渡税には注意が必要
不動産の売却時には、その土地や建物の譲渡所得に対して税金がかかります。
不動産の所有期間によっても、譲渡税率が大きく変わる点にも注意しなければなりません。
税額は課税譲渡所得金額×税率で求められ、課税譲渡所得金額の計算式は下記の通りです。
課税譲渡所得金額=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
(取得費は不動産購入費用から建物の減価償却費を差し引く)
税率は土地や建物の所有期間によって「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」があります。
・短期譲渡所得:売却する年の1月1日時点で所有期間5年以内 譲渡税39%
・長期譲渡所得:売却する年の1月1日時点で所有期間が5年超 譲渡税20%
まとめ
こちらのコラムでは、不動産投資の減価償却についてみてきました。
不動産投資においては、減価償却による節税の対策が不可欠です。
節税の仕組みや計算方法について、しっかり確認しておきましょう。
また、減価償却で節税効果を得るためには「新築マンション」「個人の課税所得」「デッドクロス」「売却時の譲渡税」には注意しなければなりません。
注意点に気を付けて、減価償却をうまく活用して不動産の経営をしていきましょう。
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