入居者に退去してもらう方法は?立ち退き料や交渉の進め方について、沖縄読谷村の不動産会社が解説
2024/02/07
不動産の経営では、物件を売却したい、建物をリフォームしたいという大家の都合で入居者を強制的に退去させることはできません。
複数の部屋を貸し出す場合には、一部の入居者が退去しないことで、家賃収入を得ることもできず、精神的負担が大きくなります。
この記事では、立ち退き料、交渉の進め方など入居者に退去してもらう方法について解説します。
入居者に退去してもらう方法はある?
賃貸物件では、大家都合で退去してもらうためには、入居者と話し合いが必要です。
入居者は借地借家法で住む権利を強く保護されており、強制的に退去させることはできず、話し合いで妥協点を見つけなければなりません。
退去してもらう「正当な事由」には、住むのに大きなリスクをともなう経年劣化や、入居者の契約義務違反があります。
建物価値を上げるためのリフォームなどは正当な事由にあたらず、大家が入居者に立ち退き料を支払って、退去に協力してもらうのが一般的です。
交渉が難航すると、裁判に持ち込まれ、解決までに2年ほどの時間がかかるケースもあります。
スムーズに入居者に退去してもらうためには、立ち退き料の相場を知り、話し合いで妥協点を見つけることが大切です。
立ち退き料の相場
貸し出している物件を自分の子どもや親戚に住ませたい、建て替えや売却をしたいなどの大家都合による立ち退きでは、立ち退き料を支払って、入居者の退去をうながします。
立ち退き料の相場は家賃6ヶ月分と引越し費用を合わせた金額です。
ただし、入居者が高齢である、病気やケガで移動が難しいなど、入居者が転居するのが困難なケースではより高額な費用がかかります。
また、単身者世帯が引っ越すのと家族世帯が引っ越すのでは、引越しや転居にかかる費用が変わり、その点が立ち退き料にも考慮されます。
立ち退き料は、入居者の状況によっても変わりますが、家賃6ヶ月分〜12ヶ月分を目安としてください。
立ち退き料に含まれるもの
立ち退き料は、引越し費用、新居の敷金、礼金、賃料、仲介手数料などを補償するための金銭です。
また、本来は住み続けたいにもかかわらず、大家都合で退去してもらう場合には引越しに大きな精神的負担や身体的負担がかかります。
そのため、引越しや転居の費用のほか、慰謝料や迷惑料としても支払われるもので、入居者の状況に十分配慮しなければなりません。
定期建物賃貸借契約の締結
建物賃貸借契約には、普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約があります。
普通建物賃貸借契約では、契約を結ぶと契約が満了しても、更新することができ、大家はそれを拒否することができません。
そのため、大家が入居者に退去してもらいたくても、簡単には退去させられない契約方法です。
一方、定期建物賃貸借契約は、あらかじめ決めた期間を賃貸に出すことが可能です。
契約期間が満了すると、契約の更新をする必要がなく、物件から入居者に退去してもらうことができ、立ち退き料を支払う必要もありません。
大規模な修繕を予定していたり、自身や家族が住みたい場合には、期間の定められる定期建物賃貸借契約を結ぶことをおすすめします。
短い期間でも入居の需要があれば、物件を有効に活用でき、入居者とトラブルにもなりません。
入居者の契約違反
入居者に契約違反がある場合には、立ち退き料を支払わなくても入居者に退去してもらうことができます。
契約違反の例には次のようなものがあります。
・入居者が3ヶ月以上家賃を滞納している
・ペットを飼育している
・騒音問題が発生している
・許可なく他人に貸し出ししている
・許可なく同居している
それまでの大家との関係や、違反が発覚した際の入居者の対応などにもよりますが、立ち退き料を支払わなくても物件から退去してもらえます。
建物の老朽化
建物の耐震性が低い、倒壊の恐れがあるなどの場合には、人が住み続けるのには大きなリスクがあります。
耐震工事を施工したり、取り壊して建て替え工事などの計画がある場合には、賃貸借契約を結ぶ際にその旨を明記しておきましょう。
取り壊しの計画などが明記されていれば、取り壊し時期がくれば、契約を終了できます。
建物や設備が古いといった理由だけでは、建物老朽化で退去してもらう理由とはなりません。
また、建物老朽化による退去でも基本的に立ち退き料が必要ですが、住み続けるのが危険な物件と認められ、立ち退き料が免除された事例があります。
競売によるオーナー変更
抵当権にもとづく競売によって、オーナーが途中で変わった物件では、立ち退き料が発生しないケースがあります。
銀行が前のオーナーの物件に抵当権を設定したあとで、賃貸借契約を結んだ入居者は、オーナーが変わった場合には、その賃貸借契約が無効になります。
そのため、新しいオーナーが入居者に退去してもらいたい場合には、立ち退き料を支払う必要がなく、また入居者は6ヶ月以内に退去しなければなりません。
妥協点をみつける交渉
入居者に退去してもらうためには、半年前から1年前には立ち退きしてもらいたい旨を通知しなければなりません。
物件の建て替え、土地の再開発による売却、家族との同居など目的を明確にして、入居者にその目的を理解し納得してもらうのが、退去してもらう一番の方法です。
オーナーと入居者がお互いに納得できる妥協点を見つけるための交渉で、スムーズに進めるには自身の主張ばかりではなく、入居者の状況にも十分な配慮をして進めることが大切です。
立ち退き交渉のポイント
立ち退きの交渉の前には、入居者についてしっかりと把握しておくことも重要です。
今までの入居状況にくわえて、性別、年齢、性格、職業や家族構成、健康状態なども調べておきましょう。
交渉相手が物件の契約者で意思を決定できる方かどうかも確認しておかなければなりません。
立ち退き料のほかに、同じような立地や家賃の条件の物件を探して、引越ししてもらい立ち退きしてもらう方法もあります。
また、退去時の原状回復費用負担をなくすなど、入居者がメリットを感じるよう交渉方法を考えてください。
交渉が難航する場合には、弁護士を依頼する方法もありますが、問題がより複雑化し、長期化するリスクもあります。
交渉の記録と合意書
立ち退きの交渉をする場合にはかならず文書で記録を残しましょう。
日付を記し、話し合った記録を残すことで言った、言わないというトラブルを防ぐこともできます。
また、お互いに納得し立ち退きが合意にいたった場合には、合意書をつくっておくと安心です。
合意書には次のような点を明記してください。
・退去日までの期間
・退去しなかった場合の損害金
・立ち退き料
・立ち退き料支払い期日
合意しても実際に退去してもらえないケースでは、予定していた工事に着手できないなどのトラブルもあります。
かならず期日を明記して、退去の内容をわかりやすくまとめておきましょう。
まとめ
この記事では、不動産経営をする方に、大家都合で入居者に退去してもらう方法について解説しました。
大家都合の場合には、立ち退き料を支払って入居者に立ち退きに納得してもらうのが一般的な慣例です。
立ち退き交渉では、入居者の状況に配慮して、入居者にメリットを感じてもらえるような交渉をすることが大切です。
スムーズな退去をしてもらうためにも、交渉の記録、合意の記録はかならず残すようにしましょう。
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